この日は大阪府の東端にある

「暗峠」を訪れました。
※(くらがり とうげ)


……なぜ急に訪れたのか、

今となってはよく分かりません。



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ここは東大阪市豊浦町

看板に「暗峠」の文字が見えてきた。


「暗峠って何? 山の峠のこと?」

という方のために少し説明を。



「暗峠」
※(くらがり とうげ)

大阪~奈良を結ぶ最短ルートで、
「生駒山地」を越える峠道

「国道308号」に指定されているが
狭い道幅や急勾配が続く難所で、
その道は「酷道」と揶揄されるほど。




「日本屈指の激坂」として知られる峠で、

坂マニア、ロードバイク好きには

かなり有名なスポットです。



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「暗峠」へと続く、国道308号線の道

ここはまだ普通の住宅街なんだけど

すでに緩やかな坂となっている。


ちなみに本日は、

嫁のまーさんは不参加です。


以下、やり取り。


今から出掛けるけど、一緒に行く?

ええね。
どこ行く予定なん?

暗峠。

・・・何て?

暗峠。
自転車で奈良まで行くの。

アホか!
どこ行こうとしてんねん!

県境に行ってみたいんだよね。

別の県境探せばええやろ…。

ついてくる?
お昼どっかでランチ食べるけど。

誰が行くか!
1人で行ってき!


……という経緯で、

ランチにも釣られなかったので

今日はの一人旅です。



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近鉄電車の高架前に到着。

緩やかとはいえ坂道が続いているので

もうすでに疲れ気味……。



そもそも私が乗っている自転車は、

サイクリングや競技に特化した

「ロードバイク」ではなく、

そこらで売っている普通の自転車


俗に言う「ママチャリ」です。


俗な言い方だと悲しくなるので

買った時の商品名に書いてあった

「シティサイクル」と呼んでください。



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振り返った写真。

下り坂になっているのがよく分かる。



途中、道を間違えて

「瓢箪山駅」方向に行ってしまったため、
※(ひょうたんやま えき)

すでに2時間ほど自転車に乗りっ放しだ。


ウォーミングアップを通り過ぎて

そろそろデスアップになりつつある。

しにたくない。



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高架下を抜けて

「東大阪市 東豊浦町」へ。

さっそく奈良と書かれた看板があった。



もうほぼ奈良だ!

やったー!!



ふうぅ……。

疲れたしんどい。



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いよいよ「暗峠」の酷道へ。


実際、目にしてみると本当に道幅が狭い。

……これ本当に国道なの?

路地だろこんなの。



ちなみに暗峠は

ハイキングコースにもなっていて

地元の人が散策しているのだとか。


この日もハイキングをしている

おっちゃんがいました。



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すぐ横を流れている水路

生駒山から流れてきてるのかな?

水がとても綺麗だなぁ……。



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……と現実逃避をしたくなるレベルで

坂道がとんでもない。


(ハイキングコースって書いてあったし、まあ何とかなるだろう)


……とか思ってた自分が浅はかだった。



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自転車が重すぎて上手く漕げない……。

いきなり難所だ。


ギア切り替え? 三段変速?

安物なのでそんな優秀な装置はない。

こちとらペダルとブレーキオンリーだ。



優秀な部分をしいて上げるとすれば、

前カゴが大きいので買い物が楽!


……今、この機能いらねぇ。



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前カゴの中で、

通りすがりに買った天然ミネラル麦茶

ゴルンゴルンと暴れている。


ラベルの鶴瓶師匠の顔が

アッチいったりコッチいったり。

ごめん鶴瓶師匠。



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もう無理……ダメだ……。


漕ぐだけでもキツいのに

写真を撮る動作が加わるので、

その度に力んでペダルを回す必要がある。


この踏む動きが一番しんどい……。



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右手に少し水平になっている場所を発見。

近隣の方の通路だと思うけど

ちょっと休憩させてもらうことに。



奥の方を眺めるとになっていた。

スタート地点にあった水路と

この川は繋がっているようだ。



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振り返った写真。

ここの時点で結構な坂道なのに

民家が並んでいる。


出掛けるだけでも大変そうだけど

この辺の人は皆慣れっこなんだろうか。



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より傾斜になっていく坂道。


んっがっ! んぎギギギッ…!!


……ペダルが全然回らない。

ママチャリではここが限界のようだ。


あっ!

ママチャリじゃなくてシティサイクル

シッティサイクルね!



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あォんっ!!


変な写真が撮れた。

指が写り込むというオマケ付き。



……もうダメだ。

自転車を押して歩こう。


サイクリングに来たわけじゃないし

奈良との県境にさえ辿り着ければ、


「はいココ大阪の端っこー! 帰る!」


とか言って、目的を達成できるのだ。



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ふと見上げてみると

塀の上に何かの案内板があった。



「松尾 芭蕉」の句碑があるらしい。
※(まつお ばしょう)

いつもならゆっくり写真を撮るけど

今、そんな余裕はない。


押してる自転車が重くて

史跡を気にしてる場合じゃない。



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……でも場所だけは覚えておこう。

「勧成院」というお寺だ。
※(かんじょういん)



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どこまで進んでも厳しい坂道が続く。


「途中で平坦になる道が出てくるだろう」

などと思っていた自分が甘かった。


情報をろくに調べずに来たことを

この辺りで本気で後悔する。



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それでも頑張って

鉄の塊と化した自転車を押して行くと

「お休み処 初音」

というお店が出てきた。


疲労した人や、飲み物を切らした人は

ここで休憩を取ることができる。



看板に書いてあるメニューを見ると、

釜めし、おでん、ホットコーヒー。

……完全に冬のメニューだ。



夏場に暗峠を利用する物好きは

そんなにいないのかもしれない。



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「お休み処 初音」の横には

国道と同じくらい横幅のある

が架かっていた。


……あっちの道は何だろう。

ハイキングコースかな?



橋の下には川が流れていて

せせらぎの音が聞こえる。


ここの自然の風景は本当に素晴らしくて

都会の喧騒を忘れさせてくれる。



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心の底から休憩したいと思ったけど、

ここで足を休めてしまうと

絶対に上まで登れなくなりそうなので

我慢して進むことにする。



電光掲示板によると、

只今の気温は「27℃」


訪れた季節は7月の中旬で、

この日の大阪の予想気温は30℃越え


何でこんなクソ暑い日に

坂道で自転車を押してるんだろう……。



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この辺から人家がなくなる。

もうただの山だ。

そら写真もブレるわ。



それと自転車を押すのが

いよいよ辛くなってきた。

こんなに重かったかな……?


普通の徒歩なら大したことはないけど

自転車という名の足かせが

疲労を極限まで加速させてくる。



でもここまで一緒に歩いてきた相棒だ。

置いて行くわけにはいかない!



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異常気象時における通行規制の看板。

熱中症になりそうなくらい暑いので

今日は関係ない話ですね。



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……ぐぐゥッ!

自転車が本気で重たい……!


斜面と体が平行になるくらいの角度

押さないと自転車が進んでいかない。


近場の駅前駐輪場とかに

置いてくればよかった……。



……というか何でコイツは

さっきから人に押してもらってるんだ。

お前なんか車輪2つもあるじゃねーか。

自分で動けよ、コノヤロウ!



さっきまで相棒と呼んでいたのに

一瞬で気持ちが裏返る。

山道は過酷だからそういうこともある。



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汗だくになりながら登って行くと

建物が見えてきた。



ちなみに写真の左側に見える石碑は

「暗越奈良街道」の碑。
※(くらがりごえ なら かいどう)


現在、国道になっている暗峠ですが、

ここは元々、暗越奈良街道という街道

古くから交通に利用されていた道です。



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建物は東屋風の休憩スペース

……助かった。

ここで少し休んでいくことに。



結構大きな建物だけど

休んでいる人は誰もいなかった。


……というよりも、

暗峠自体に人の姿がない。



結局この日見た人類は

最初に見たハイキングのおっちゃんと、

奈良方向から来たおっちゃんの2人だけ。


車は数台通ったけど、

ロードバイクの1台すら見かけなかった。



やはり夏真っ盛りに、

しかも普通の自転車で訪れるのは

おかしなヤツなんだろう……。



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東屋の横から酷道を眺めた風景。


道路の位置を示すポールが

斜めになっているけど、

これは急坂に刺さっているから

彼らも斜めに立つのは不本意だろう。



……そのうちどこかで

緩やかな斜面が出てくると思ってたのに、

こんな感じの急坂が

常に続いているのだからたまらない。



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東屋の近くに石碑と案内板があった。

「松尾 芭蕉」の句碑

と書いてある。


さっきのお寺さんにもあったな。



説明によると、

先ほどのお寺にあるのが本体の句碑

それが山津波で行方不明となったため

代わりに後ろの石碑を建てたらしい。



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うっひょー! 竹だ!

いいモノ見れたー!!


句碑の横にあった茂みに

竹が生えていた。



地元の方々からすると

「何が?」と思うかもしれませんが、

北海道民の私からすると珍しいんです。


北海道で竹ってほぼ生えないんですよ。

生で竹を見るとテンション上がる!



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浮かれながら東屋に戻ってみると

とんでもない貼り紙が……。

スズメバチが活発化しているらしい。



……というか、

この貼り紙の写真を撮っていると

さっそく東屋にスズメバチが入ってきた。

ビビッて写真がブレてる。



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慌てて東屋から逃げ出す。


なんなのこの峠!

絶対に休息を与えないマンなの!?



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しばらく進んで、振り返った写真。

……結構登ってきた。



途中で軽トラが後ろから来たり、

頭上の枝にスズメバチがいたり、

地面にスズメバチがいたりして

写真を撮る余裕がなかった。



この峠にいるスズメバチって

なんか他のヤツと違わない?

黄色の部分が鮮やかで濃いんだけど!


あんなに黄色いヤツは初めて見た。

野生のスズメバチかな。


野生怖ぇーな!

スズメバチって大抵、野生だけど。



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休憩がてら撮影しているこの場所は

「豊浦橋」という

赤い橋が架かっている地点。



暗峠のネット記事を読んでいると

「休む場所が無い!」

なんてことが書いてあるけど

……これは誤りだ。



坂道の途中には、

枚岡公園などに繋がる脇道が存在していて

その脇道との分岐路はやや平坦

休憩することができる。


また、この場所のように

橋に繋がる分岐路もいくつかあり、

ここも平坦なので休憩ができる。



体力が無いひ弱な私は、

こういう絶妙な休憩ポイント

決して見逃したりはしないのだ。



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橋のところから

激坂を見上げた風景。


自転車を押して歩くにはあまりに酷だ。

嫌でも山越えをしているのだと認識させられる。



坂道についても、さっきから

急坂→激坂→急坂→激坂

と地獄を繰り返しているだけだ。


それでもここはまだマシな方らしい。

酷い地点だと勾配40%弱と言われている。



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道しるべに小さく、

「暗峠まで1.7km 約30分」

と書いてあった。



ここに書いてある「暗峠」

おそらく私がゴール地点にしている

県境の集落エリアのことだろう。


この坂道がまだこれから

1.7kmも続くと考えるとゾッとする。

どこかで平坦な道をください。



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地面に近いアングルから撮ったら

坂道が緩く見えるかなと思って撮影。



自転車をスタンドで固定して

ハンドルから手を離して撮っていたら、

スタンドを「ガガガッ!」と

引きずりながら自転車が降下


危うく坂から転げ落ちるところだった。

一瞬たりとも油断できない。



0804_37

「観音寺」という案内を発見。

こんな酷い坂道なのに

お寺さんがいっぱいあるなぁ。



……ん? 逆かな。

こんな酷い坂道だからこそ、

街道を歩く人を助けるために

お寺さんがあるのかもしれないね。



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道の右側、斜面の下は川が流れていて

「沢」のようになっている。

自転車が落ちなくて本当によかった。

落ちたら救出不可能だ。



ここはガードレールがあるから

多少はマシだけど、

場所によってはガードがない所もある。


そういう場所に来ると怖くて

左の山側に自然と体を寄せてしまう。



段々と心細くなってきた。

冷静に考えたらここ山なんだよな。

クマとか出ないだろうな……。



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……もう本当にしんどい。

すっかり息があがって、全身汗だくだ。


でも自然が綺麗で癒される。

癒されながら疲れる……。



延々と続く坂を上っていくと

屋根のある建物が出てきた。

あそこで少し休憩できそうだ。



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建物に到着。

こちらは慰霊碑のように見える。

手を合わせてから

手前のベンチで少し休ませてもらった。



ここでグーグルマップを確認すると、

目的地まで4分の1くらいしか

進んでいなかった……。

一気にどっと疲れる。



真夏にママチャリなんかで

来ていい場所じゃないぞココ。


…あっ!

ママチャリじゃなくて、

スィッティサイクルね!



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前カゴに入れていた

麦茶の量が半分くらいになった。

鶴瓶師匠たすけて。



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麦茶なくなった。

鶴瓶師匠たすけてぇぇー!




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右手に荘厳な雰囲気を醸している

「鳥居」が出てきた。

奥に続く道もすごい……。



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すぐ横には大きな石碑が。


「大社之瀧 禊行場」

と刻まれているので、

こちらは滝行をする修行場だと思われる。



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更に進むと右手に建物が見えてきた。

かなり低い場所にある。

山を登ってきたんだから当然か。



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近くにあった

「観音寺」の案内碑。

右手に見えた建物はお寺さんのようだ。



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坂から「観音寺」を眺めた風景。

奥の方に黄金の観音像が見える。


ここでようやく目的地の3分の1まで

来たといったところ……。



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この「観音寺」を越えた辺りで

スマホの電波が圏外になった。


目的地まで登りきろうと思ったけど、

まだまだ激しい坂が続いてる。


このまま自転車を押し続けるのはキツイ。

水分補給をできる場所もない。



負荷が重なっていた所に

この圏外がとどめとなってしまい

完全に心が折れてしまった……。



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……帰る!


来た道を戻ることに。

でも、ここからが本当の地獄だった。


ブレーキハンドルをフルで握ってるのに

自転車がズリズリと落ちていくのだ。



帰りは自転車に乗って

スイスイ下りてやろうと思ってたけど、

乗ったが最後、沢に落下して

スイスイあの世行きだ。


しにたくない。

ゆっくり押して降りよう。



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坂上り中は気づいてなかった

お寺さんの掲示板。


「ねをあげず へこまず へこたらず」


いやー、刺さるなー。

途中で諦めて負け犬となった今の私の心に

グッサグッサ刺さるヤツだ。


……県境まで行けなくてごめんなさい。



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下りは本当に危険なのでゆっくりと……。

油断してブレーキを握る力が抜けると

自転車が勝手に落ちていきそうになる。



上っていた時とはまた違う形で

精神力と体力を奪ってくる。



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下りながら見つけた古そうな階段


左側に妙なトーテムポールがあった。

ンバ族とかの集落に繋がってると思う。



……という軽口を叩けるような

写真を撮る余裕もないほど、

この下り道は本気でキツイ……。


ここからは集中して降りよう。



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大阪の街並みが見えてきた。

人里に降りてくると安心するなぁ。

なんとか帰ってこれたぞ。



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……というわけで

「暗峠」の散策はここまで。


奈良との県境まで行きたかったのですが

ちょっと甘く見てました……。

ごめんなさい。



あまりにキツかったため

「もう2度と行かない」とも思いましたが、


自転車なし&涼しい季節という条件なら

リベンジできそうなので

機会を改めてまた訪れたいと思います。



※この記事の写真は2019年7月に撮影したものです。


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【暗峠】



最寄り駅は
近鉄奈良線・枚岡駅
近鉄奈良線・額田駅

奈良からなら「近鉄・南生駒駅」が近いぞ!